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恋に効く、仏教 Vol.19

恋に効く、仏教 Vol.19 第十九話
性格不一致 問題なし!

2016.08.10

恋愛や、特に結婚を考える場合
性格の不一致は大きな問題になります。
 
よく芸能人の離婚のコメントでも
「性格不一致」
というキーワードが登場します。
 
でも、
性格不一致なんて
人と人が付き合っていくのに
なんの支障にもならないはずです。
 
 
夫婦や恋人と言っても、基本的には他人。
自分ではありませんから、
違って当然。
合わなくて当然なのです。
 
大事なのは、その違いを認められるかです。
 
 
先日、修行道場の師匠と一緒にイタリアに行ってきました。
初のヨーロッパで大きな刺激を受けました。
中でも、ローマ法王への謁見は印象深い時間でした。
毎週水曜日に一般謁見がバチカンで行われ、多い時には6万人も謁見に訪れます。
そのエネルギーと法王への愛に、ただただ圧倒されました。
やっぱりキリスト教はすごいなぁーと。
 
バチカン以外にも様々な教会に足を運びましたが、
どこもかしこも天井画!
隙間なく天井画!
ちょっと酔ってくるくらいでしたが、
結構驚いたのは、
異教徒が地獄へ落されるシーンが描かれている事でした。
 
キリスト教では、異教徒は地獄へ行く。
 
この教えは、深く考察すれば違う側面も見えるのですが、
そのまま捉えるとエライ強い言葉です。
 
私なんか完全に地獄行きです。
 
でも、
そんな異教徒最前線の私がなぜローマ法王に謁見できたのか?
 
実は、バチカンでは50年前に、大きな会議が開かれて
 
異教徒を認める
 
という方針が確認されたのです。
 
それ以降、積極的に異教徒と交流を図ってきたバチカン。
そのおかげで私は一般の人より近くで法王を見ることが出来ましたし、
私の師匠は、ステージ上に案内されていました。
 
お坊さんの格好で行っていたのですが、私たちに対して、尊敬と丁寧な対応を様々な場面でしていただきました。
 
違いを認め、知ろうとし、違う相手の素晴らしさに気づこうとする姿勢が、世界平和の第一歩なのです。
 
 
仏教では、どうなっているのか?
 
私たちは、自分の道の外にも他の道がある事を認める。
という事が常に大切にされてきました。
 
違いを認める。
どっちが正しいとか間違っているではなく
違いがある事を認める。
これが大切です。
 
イスラム教って教えがあるのかー
聞いてみるとなかなか素晴らしいね。
私は仏教をいいと思うけど。
 
キリスト教っていうのもあるのか。
なかなか素晴らしいね。さすがだね。
私は仏教だけど、キリスト教もすごい。
 
など、宗教間においても、この考えが基本にあります。
 
日本に仏教が伝来してきた時も
すでに日本で信仰されていた神道などの教えと仏教は混ざってしまうのです。
 
これは神道の寛容さもありますが、
仏教もいいね。神道もいいね。
両方いいから一緒でいいね。
 
仏教伝来以来、神仏習合といって
神棚も仏壇もある。
曖昧だけど素晴らしい。
 
これが日本人の宗教観の基本だと思います。
 
うちのお寺もお寺の神社がありますし、
神社に仏像があった事もありました。
 
ただ、明治政府によって政策として神仏分離が図られ、
それ以降、文化としては神仏習合、でも神仏分離という変な形になっています。
 
仏壇も神棚もあるのはおかしい。
初詣は神社へ、お盆はお寺へはおかしい。
 
という発想も生まれてきました。
 
でも、日本は曖昧でいいんです。
仏教も神道も違いはあれども、お互い認め、混ざり合っているのですから。
 
私たちは、文化的にも宗教的にも、世界と比べ違う考えを認め、混ざり合う最先端にいると思います。
 
キリスト教ですら50年前に方針転換となった想いを、
聖徳太子の頃から持っていたのです。
 
でも、最近では
明治政府の神仏分離政策が、ボディブローの様に効いているのか、
私たちの心も、他者と分離する想いを持つ方が増えてきています。
 
自分の考え、想い、好きな事。
これと一致する人とだけ付き合い、
違ったら別れる。
 
 
これでは、イスラム教の素晴らしい教えを履き違えて、
信仰を強要するISと変わりません。
 
 
宗教感の話のようですが、
実際には、身近な話です。
 
私たちは、違いを認めなければいけません。
違っている相手の考えの素晴らしさに気づかなければいけません。
自分の考えややり方を変えろと言っているのではありません。
他者の考えややり方を認めるのです。
 
結婚や恋愛は、
日本に仏教が伝来したときに似ているのかもしれません。
 
違う考え方が突然自分のテリトリーに入ってきた。
 
そこで違う考え方のすばらしさに気づき、
混ざり合う事を選ぶか、
 
違いを認めず、相手に自分の想いを強要するか。
 
宗教で言えば、
平和か戦争の選択。
 
夫婦で言えば
円満か喧嘩の選択。
 
他人なのです。
違うのです。
 
性格なんて一致しないんです。
不一致に決まっているし、
不一致のままでいいです。
 
その不一致である事を認め、
いつの間にか混ざり合っていく。

 
性格の不一致で別れた。
性格が合わないとしょうがないよね。
 
違うのです。
 
違いを認めきれなかった自分が悪かったのです。
 
私も素晴らしいが、
あなたも素晴らしい。
 
一緒になればもっと素晴らしい。

 
初詣に神社に行き、お盆にお寺に行く。
 
私はそんな文化が大好きです。
 
違いを認め、曖昧さの中で、素晴らしさを見つめ生きていく。
するといつの間にか混ざり合っていく。
 
 
不一致いいじゃない。
まったく問題ありません。
 
 
長く連れ添った夫婦が、
外見も性格も似てくるって言うじゃないですか。
 
違いを認め、混ざり合うと
 
結果的には、性格は一致するのです。
 
外見まで似るかはともかく、混ざり合ってくるのです。
 
 
さぁ相手の素晴らしさを知る為に一歩進んでみませんか?
 

Writer Profile

木宮 行志
木宮 行志Koushi Kimiya

お寺婚活「吉縁会」事務局長 / 龍雲寺住職

浜松市の龍雲寺に入寺後、小学生100名のサマースクールや、世界の子どもにワクチンを送る万灯会など、社会貢献活動を行う。

2010年より、静岡県西部で費用をかけず、安心した出会いの場を提供しようとお寺での婚活「吉縁会」を地元の若手僧侶とはじめる。2015年からは東京、2016年からは名古屋・岐阜・大分・仙台でも開催。現在、会員は10,500名。成婚は260名以上と大きな成果を上げる。僧侶という立場で、独身世代と向き合い、多くの縁結びをお手伝いする。2018年春、 龍雲寺 第22世住職となる。

永代供養・樹木葬・坐禅会紹介『龍雲寺』
寺コン・お寺婚活『吉縁会』

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