楽しみ、楽しませ、ほんのちょっと楽になる

恋に効く、仏教 Vol.24

恋に効く、仏教 Vol.24 第二十四話
与えられた場所で。

2016.12.14

向上心と欲
同じ行いでも、言葉が違えば捉え方が変わります。
 
向上心は必要ですが、
行き過ぎれば欲の世界となり、
欲をスタートとする向上心は
あまり良いものを生み出すとは思えません。
 
 
でも、なぜ現状のままではダメなのでしょう?
 
私たちはなぜ現状に常に不満を持つのでしょう?
 
 
禅の言葉「禅語」に
 
松無古今色 竹有上下節
 
という言葉があります。
 
松に古今の色無し 竹に上下の節あり
 
と読むわけですが、
 
この様な禅の言葉には様々な解釈があります。
 
正式な解釈とは少し異なるかも知れませんが、私の寺の住職の解釈で説明したいと思います。
 
 
ちょうどこの原稿を書いている12月初旬。
龍雲寺の庭園のもみじは真っ赤に染め上がり、ここ数年で一番の美しさを見せています。
 
浜松では、温暖な気候なので毎年もみじはあまり、紅葉はせずに、
ただ散っていく事が多いのですが、
 
今年に限っては非常に美しく染め上がっています。
 
美しいなと思う反面、気候がおかしいのかな? と不安になったりもします。
 
紅葉は美しく、誰もがもみじに目をやり
写真を撮ります。
 
ただ
隣にある松には見向きもしません。
写真も撮りません。
 
松もモミジも美しいはずなのに。
 
 
松は一年中緑なのです。
古い松も、若い松も、時を超えて
ずっと緑です。
 
ただ、松は
不満を言いません。
 
私は紅葉したい
葉を染め上げたい
皆に見てもらいたい
 
など不平不満は言わず
ただそこに松として座っています。
 
 
竹も節だらけで、
スギやヒノキのように節なしの美しい材木にはなれませんが、
 
ただ節を抱き、竹としてそこにいます。
 
 
与えられた場所で
与えられた命をただ懸命に生きているのです。
 
だからこそ
 
松は松として美しいし
竹は竹として美しいのです。
 
松が紅葉を求めて色を染めるなら
それは松枯れとなります。
 
竹が節を捨てたら倒れてしまいます。
 
 
私たちは、現状を与えられた場所だと思わずに、
 
もっと良い世界がある
もっといい条件がある
もっときれいな彼女ができる
もっと金持ちな彼氏がいるはず
 
と、他の世界の事ばかりを見て、
 
自分が自分として
今、与えられた世界の中で、
輝こうと思わず、
 
変化を常に求めています。

 
 
松が松として生きなければ
松枯れをおこし枯れてしまうのと同じように、
 
今の立場の中で、
まずは懸命に生き、輝こうとしなければ
枯れながら生きるという事になります。

 
 
竹に上下の節があり、
区別があるように
 
世の中は、決して平等ではありません。
 
お金持ちと、貧しい人
力のある人、ない人
足の速い人、遅い人
 
などなど
様々な区別があります。
 
どうやっても一緒ではないのが現実です。
 
男と女という区別もどうしても存在します。
 
区別はやむ負えませんが、
差別はいけません。
 
男と女は違うけど、
どっちが偉い、どっちが悪い
は差別です。
 
差別は他者にするもののようですが、
自分の立場に対して、
あれより悪い
これより良い
 
とするのも差別です。
 
区別は世の中必ずありますが、
そこに差別の心を持つことはいけません。
 
 
竹は上下に節で区別はあるけど、
上の段がいい、下の段は嫌だ
上は偉くて、下は良くない
 
と言わず、その与えられた節の中で懸命に支えることで、
 
結果的には1本の竹として成立しているのです。
 
職場
学校
家族
 

様々な竹(社会)があり、
 
自分が様々な竹(社会)の節の中にいると思いますが、
皆が与えられた場所で、懸命に生きなければ、
その竹は倒れてしまうのです。
 
どの節も大切な竹の一つの節です。
どの節も輝かなければ
一本の竹として成立しないのです。
 
 
良い生き方をするのも
幸せに生きるのも
 
今の立場の中で、
与えられた世界で
 
まずは輝こうとしなければいけません。
 
 
紅葉も美しいですが、
松の緑が赤い紅葉を引き立てるのです。
 
紅葉だらけでは意外に美しくありません。
 
 
私は、紅葉も好きですが、
松の凛とした姿も好きです。
 
 
竹で言えば、
上の節が素晴らしいわけではありませんが、
違う節の生き方になりたくても、
 
欲の世界の向上心だけを持ち、
今の節を懸命に生きず、
今の節を卑下していては、
違う節に移ることなどできないのです。

 
 
まずは、今の場所で、美しくなりませんか?

Writer Profile

木宮 行志
木宮 行志Koushi Kimiya

お寺婚活「吉縁会」事務局長 / 龍雲寺副住職

浜松市の龍雲寺に入寺後、小学生100名のサマースクールや、世界の子どもにワクチンを送る万灯会など、社会貢献活動を行う。

2010年より、静岡県西部で費用をかけず、安心した出会いの場を提供しようとお寺での婚活「吉縁会」を地元の若手僧侶とはじめる。2015年からは東京、2016年からは名古屋・岐阜・大分・仙台でも開催。現在、会員は10,500名。成婚は260名以上と大きな成果を上げる。僧侶という立場で、独身世代と向き合い、多くの縁結びをお手伝いする。

永代供養・樹木葬・坐禅会紹介『龍雲寺』
寺コン・お寺婚活『吉縁会』

Back Number

その他のバックナンバー

ページトップ