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Vol 8. ありのまま、ブータン

Vol 8. ありのまま、ブータン アプ・ボクトと樽の物語⑤:
お寺参り

2015.10.17

雨季も明け、すっかり秋らしくなってきたブータン。
田んぼも黄金色に輝き、もうすぐ収穫の季節を迎えようとしています。
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温暖なプナカの棚田をお散歩。なんとも爽やかな気分!
 
 
1年の中で最も過ごしやすく、また美しいこの季節は、トレッキングにも最適。
山間に点々と存在する湖や、昔ながらの生活を守る村々を訪れるなど、美しいヒマラヤの眺望を臨むブータンならではのトレッキングもまた、魅力満載です。
アプ・ボクトも、野生動物に襲われながらも何とかトレッキングを続け、とうとう目的地であるお寺にたどり着きました。
 

アプ・ボクトと樽の物語⑤:お寺参り

 
白猿、熊、豹、虎・・・次々と襲い掛かる森の強者たちからやっとの思いで逃れたアプ・ボクトは、とうとう目的地のお寺にたどり着きました。
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お寺の中に入るや否や、お経を唱え祈祷をする高僧たちに、深々と頭を下げるアプ・ボクト。心の底から、“すべての生きとし生けるものが、災いから解き放たれ、昇天しますように”と、祈りを捧げます。
 
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神聖な仏像にも同様に祈りを捧げ、お坊さんから、サフランの入った聖水をいただきます。
 
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真摯に、すべての生きとし生けるもののため、そして家族のために祈り続けたアプ・ボクト。気づいたら、お寺に着いてから1週間が経っていました。
「家族もきっと心配しているだろう。そろそろ帰らなければ。でも、あの動物たちはきっと、おいらの帰りを楽しみに待っているはずだ・・・・・・。どうしたら、無事に家まで帰れるものだろうか。ああ、困ったなぁ・・・・・・。」
と、途方に暮れるアプ・ボクト。
 
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あたりをうろうろしていると、大きな樽が2つ転がっているのを見つけました。
おもむろに中を覗き込んでみると・・・・・・。
 
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「何とまあ! この樽はおいらにぴったりのサイズじゃないか。とってもいいことを思いついたぞ! ああ、何て嬉しいんだろう!」
 
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そう、アプ・ボクトは、樽の中に身を隠し、転がりながら山をくだることで、動物たちに見つからないように、うまく家に帰れるだろうと思いついたのです。
果たして、アプ・ボクトの作戦は成功するのでしょうか・・・・・・?
 
つづきは、vol.9をお楽しみに!

Writer Profile

松尾 茜
松尾 茜Akane Matsuo

日本の大手旅行会社に5年間勤務した後、2012年よりブータン王国の首都ティンプー在住。ブータンの持続可能な観光開発事業に携わっている。地域固有の自然や文化、昔ながらの人々の生活を守りながら、ゆるやかに交流人口を増やし、地域経済を、訪れた人の心身を、着実に豊かにしていくような観光を、世界各地で促進していくことがライフワーク。

Ap Bokto
Ap Boktoアプ・ボクト

ブータン王国の田舎町出身。二児の熱血お父さん。農家で、家族と家畜と共に、昔ながらの伝統的な生活を営んでいる。敬虔な仏教徒でもある。

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