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Vol.18本道佳子マネージャー日記

Vol.18本道佳子マネージャー日記 サクサクさす

2015.04.23

突然ですが、「黒ひげ危機一発」ってご存知ですか?
 
ひょっとしたら、小さなお子さまや10代の皆さんは知らないのでしょうか。
それとも、現在でも定番のおもちゃなのでしょうか。
 
いずれにしても、この黒ひげ危機一発。
 
黒ひげくん人形が入ったタルに1本ずつ剣を突きさして、人形が飛び出したら負けというルール。
 
私の家にはなかったので、友達の家で時々遊んでいましたが、剣をさすとき、一瞬シーンとなるんですよね。
子ども心ながら、何ともいえない静寂と緊張感のなかで、ハラハラ・ワクワク・ドキドキしたことをよく覚えています。
 
 
さて、なぜ今回、黒ひげ危機一発のお話をしたかといいますと。
 
先日、本道さんがいろいろなイベントでつくった料理の写真を整理していたのです。
そうしたら、ふと気づいたことがありまして。
 
本道さんの料理には、いろいろなものがささっている!
 
 
本道さんの料理に関すること、例えば、色や味付け、アイディア、そこに込められた思い、などなど。そういったことは、今までに何回か書かせてもらったと思います。
 
でも、もうひとつ特徴的なのが、その盛りつけ。一言で表すなら、とてもダイナミックなのです。
一皿ごとに、おしゃれであったり、スタイリッシュであったり、繊細であったり、様々な要素が組み合わさっているわけですが、最初に目に飛び込んでくるのは、そのイキイキとしたさま。
 
一見完成したように見える料理に、「何かをさす」という大胆な遊びを盛り込むことで、その料理に動きや表情をつけている、そんなイメージ。
その表情豊かな姿がまるで、剣がたくさんささった黒ひげ危機一発みたい! そんなことを思ってしまったわけなのです。
 
料理にささっているのは、にんじんだったり、ごぼうだったり、昆布の素揚げだったり、その時々で変わります。
さしかたも、規則正しかったり、ランダムだったり、やはり時と場合によるのですが、どれもまぁ見事なバランス感でその料理を一瞬で印象つける表情となっています。
 
その躍動感あふれる表情を見たときに感じるドキドキワクワク感がまた、黒ひげくんのタルに剣がどんどんささっていくときの、胸の高鳴りに似ている気がするんですよね。
 
ひとつ大きな違いといえば、さすときの姿勢でしょうか。
黒ひげ危機一発は、皆が剣を恐る恐るさしていくのに対し、本道さんは一筋の迷いもなく、サクッサクッとさしていく。
 
なかには、迷いなく剣をさしていった、という方もいると思いますけどね。
ちなみに私は、当たりたくないーと思いながらも、常にタルの見た目がよくなるように、剣の色やさす場所のバランスとかを意識していたような。誰にも言わない、自分だけの小さなこだわりをもって黒ひげくんに臨んでいました。
 
 
と、話は戻りますが、その本道さんの迷いのないさしかたが、大きなポイントな気がしていて。
その一球入魂な感じが野菜に大いなる自信を持たせている、といいますか。
 
料理を見た瞬間も、食べた瞬間も、食べ終えた後も、皆さんに喜び楽しんでほしい。そんな本道さんの気持ちを、にんじんが受け取り、表現しようとしている気がしてならないのです。
 
ほら、写真のにんじんたち、どれもキリッとして堂々としているように感じませんか? 味の面でも見た目の面でも、自分たち一人ひとりがこの料理に欠かせない大事なパーツであることを自覚している、みたいな。
 
本道さんとにんじんの双方がワクワクさせてくれる表情豊かな料理。その見た目やワクワク感から、黒ひげ危機一発を思い出したというわけです。
 
あー、こう書いていたら、私も表情豊かな料理をつくりたい意欲が出てきました。
ついでに、黒ひげ危機一発でも遊びたくなってきたなぁ。
 
にんじん以外の野菜がささった料理の写真は、またいつかご紹介しますね。
 

PH_amano_v18_1-20150423UP.jpg切干大根とワイルドライスにささる3色(黄・橙・紫)のにんじん
 

PH_amano_v18_2-20150423UP.jpg白キクラゲとにんじんとレーズンのサラダwithローストにんじん


Writer Profile

天野麻里江
天野麻里江Marie Amano

本道佳子さんマネージャー
大学卒業後、システムエンジニアとしてIT企業に入社。法務部で契約書作成にも携わる。2011年3月、本道さんと出会って価値観が大きく変わる。2013年夏に退社。本道さんマネージャーと国境なき料理団事務局を担当し、皆様に本道さんの魅力を届けるべく活動中。
小さい頃から食べることが大好きで「おいしい食べ物は人を笑顔にする」と信じている。

本道佳子(ほんどう・よしこ)
NPO法人・国境なき料理団 代表理事。高校卒業後、単身で渡ったアメリカで世界中の料理に触れる。帰国後は野菜料理のシェフとなり、『食で世界が平和になったら』の想いを胸に、病院とのコラボ「最後の晩餐」など様々な活動を続ける。その人柄と大胆でカラフルな野菜料理は評判となり、2014年「湯島食堂」閉店後も、世界の各地で愛あるご飯をお届け中。

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