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Vol.03暇と毒

Vol.03暇と毒 暇から生まれたルール

2015.05.05

みなさん、こんにちは。植松晃士です。
 
雑誌もテレビも企業さまとのお仕事も、多岐にわたってお手伝いさせていただいておりまして、本当にありがたいことに、何年も1時間刻みでアポイントメントが入っている毎日。
 
朝起きて仕事に出かけ、顔をしぼませながら、命からがら家に帰り、ストレス解消にDVDを見かけたところで寝オチして、気づけば朝。そんな日々の繰り返しなの。でもね、すごく感謝してるんです。
 
そんな毎日を過ごしているのに、先日、大事件が起きたの! 題して「大遅刻事件」! 
最近は「遅刻」でお詫びしている政治家の方もいらしたけど、やっぱり「時間を守る」ことは大人として大切なことだと思います。で、どんな事件だったかというと、
その日、夕方の5時半から6時半まである媒体の収録で、僕がコーディネートチェックをするという内容のお仕事をする予定だったのね。ただ、その日は7時から会食のお約束があったんです。コーディネートチェックは数ルックこなさなくてはならなかったので、僕すごく仕事は速いんですけど、それでもかなりの集中力でやらなくちゃいけなかったの。基本的に遅刻したくないというか、常に10分前には現場に到着しておくのが僕のポリシーなんです。だから、1時間で数ルックやって、30分で移動してちょうどいいかな、っていう計算だったのよ。
 
さて。5時半になりました。現場にはいろいろな大人が何人も、その時間に合わせて集合していました。その時、僕の携帯が鳴ったんです。出てみると、外部スタッフA子さん(以下A子さん)が「30分遅れます」・・・・・・。その声色は、一応焦ってた。とはいえ、みんなこの時間に合わせて集合しているわけだから、今の電話で30分遅れるって言われても、残りはもう30分しかないわけだし、「わかりました」とも言えないじゃない? だから、僕の返しとしては「あなたも大人なんだから、僕には応えれらないから自分で考えて」って切ったの。ほかの人もいるし、僕の一存で遅刻することを許してしまってはいけないじゃない?
 
A子さんが到着したのが、6時10分。タイムリミット20分。この仕事をしっかりこなさなきゃいけない、でも会食にも間に合わなければいけないというストレスが僕を襲ったの。髪の毛が真っ白になるんじゃないかって思うほどのストレスよ! どちらの仕事もきちんと運ぶようにスケジューリングしてたのに、その一人の電話1本で、窮地に落とされたわけなんだから。
 
残りの20分で、できるだけのことをやって、あとはオフィスのスタッフがケアしてくれることになったんだけど、自分で一部始終やったわけじゃないから、その仕事が終わるまでは不安が続くわけじゃない? おまけに、スタッフ数名が1時間で終わることを3時間でやらなくちゃいけないから、残業でしょ。その残業代もそうだし、その人たちのその日の予定も、A子さんの「すいません」という5文字で片付けられちゃったワケよ! しかも「すいません」じゃなくて、「すみません」が正しい日本語だから! いつから「すみません」が「すいません」になっちゃったのかしら。ま、これは余談だけど(笑)。
 
会食に行ったあとも、もんもんとストレスを抱えて引きずっていたんですが、ある時違うシーンでも、A子さんは移動中に「遅れます」って電話をしてたの。そこで、ふと気づいたのよ。「あの人にとっては、遅れますって電話をすれば許されるっていうのが常識なんだな」と。そもそも、遅れた理由が「前の打ち合せがのびたから」。打ち合わせに行くのも遅かったから、ずるずるとズレたわけよね。電話1本で「OK」って許されるってことは、その後にアポなり仕事なりが詰まってないってことでしょ。その人の社会には、時間がとてもある。とどのつまりは、暇ってこと。本当に忙しいってことがあるんだよ、っていうのを知らないのよ。
 
そうじゃない社会ルールで生きている人からすると、暇ということから生まれたルールがいかに毒素が強いかってこと。僕、まだ後遺症が残っているもの・・・・・・。とはいえ、その人もそういう社会に慣れているせいか、悪気はないんだと思う。だから、僕の世界とは人の種類が違うんだな、って思うことにしました。外部スタッフとはいえ、A子さんとはおつきあいの仕方を考えなきゃね。みなさんも、時間についてはお気をつけて
 
では、また次回お会いしましょう。
次回は楽しいお話をしたいと思います♪


暇と毒15.jpgのサムネイル画像
 

Writer Profile

植松晃士
植松晃士Koji Uematsu

アタッシェ・ドゥ・プレス(※)
ファッションプロデューサー
株式会社ヘルメット/株式会社アンソニーレッド 代表取締役
数々のファッションブランドのPRを手がけるほか、ファッションプロデューサーとしても活躍中。TVや雑誌などの多くのメディアで、女性のファッションに対する独自の視点と、その辛口トークが大好評。

※アタッシェ・ドゥ・プレス
ファッションブランド、ジュエリー、コスメ、ファッションビルなどのPRを手がけるほか、ブランドのPR、ブランドディレクション、企画アドバイス、イベント企画・運営などを行います

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