楽しみ、楽しませ、ほんのちょっと楽になる

Vol.238台湾から来た白い犬の日記

Vol.238台湾から来た白い犬の日記 ベネズエラの現状に…。

2018.10.09

こんにちは Cocoです。
こちらにちょくちょく登場するサブリナさんは、
私Cocoの散歩アンド旅行中のCocoシッターさんです。
彼女はベネズエラ出身の21歳の学生さんで、
真面目でとってもいい子であります。

そんな彼女のお父さん、お母さん、弟くんが
ベネズエラからこちらに夏季休暇にやってきていました。
私のアメリカ人お父さんのDさんとサブリナさんは
まるで女子高生のようにしょっちゅう携帯に
メッセージを送りあって喜んでいる不思議な関係であります。
そんな彼らの会話中、「それじゃぁー皆さんをうちに呼んで
ちょっとしたスナックカクテルパーティーでもしようかー」
という話になったようです。
PH1_cocov238_1-20181008.jpg今までのサブリナさんの食生活を見ていると、
チーズアンド肉が大好きなようですので、きっと家族の食べ物への志向も
似たようなものだろう予想をつけまして、
肉アンドチーズをメインに、日本人飼い主のJapanさんが用意してみました。
基本的には生ハム、サラミ、スモークサーモン、
サラダ(キュウリ、トマト、アボカド、モッツアレラチーズを
ライムジュースと塩コショウとオリーブオイルで和えたもの)、
チーズ、チップスなどですー。

今回はサブリナさんのお母さんの高校時代からの友人という、
DさんとJapanさんたちの銀行の担当者のMCさんも招待しました。
午後6時半に皆さんが家にやって来てまずは、はじめましてーのご挨拶。
その後はDさんが皆さんに家の中をツアーしまして、
どこをどう直したなどの説明をしていました。
PH2_cocov238_1-20181008.jpgMCさんは、DさんとJapanさんたちの急転直下の家購入時には
ローンや書類などのことでいろいろと便宜を図ってくれ、
大変お世話になった方です。かなりアクのある人物ではありますが
仕事ができる方なので本当に助かりました。
参加者は上の写真で左から、サブリナさん、お母さん、お父さん、
銀行WomanのMCさんです。これにサブリナさんの弟、
Dさん、Japanさん、私Cocoが勢ぞろいしましたので乾杯―!
パーティーが始まりました。

今ベネズエラは政治的、経済的な混迷を極めていまして
一般市民には大変暮らしにくい状況となっています。
その中でも激しいインフレーションは大きな問題です。
通貨の価値が極端に下落するため、
品物の値段が高騰するという状態なのだそうです。
ニュースでは年内は100万パーセントのインフレ率(ちなみに日本は
1.12パーセント、米国は2.54パーセント)ですから
とんでもない状況になっています。

ですから、今まで持っていた現金、銀行口座のお金はほとんどゼロに違い価値に…
また今日買った牛乳が次の日数倍以上の値段がつくこともあり得る毎日。
それに品物自体が極端に不足しているので、
品物があったらすぐに買わないといけないそうです。
値段を躊躇していたら、もうその品物は次の瞬間に無くなっていて
買うこともできなくなってしまうそうなのです。恐ろしい限りです。
PH3_cocov238_1-20181008.jpgそんな国の方たちから直接話を聞くのは初めてですので大変興味深く、
今までニュースを聞いていていろいろと疑問に思っていたことを
聞くことができたのは貴重な体験でした。

さて、サブリナさんのお父さんは民間機のパイロットでしたが、
今はヨーロッパ系列の貨物専門のパイロットしている方です。
飛行機大好き人間のオタクに近いDさんはこれに大興奮!
今まで聞きたかったことや、飛行機の歴史や彼の飛行機操縦の感想などを、
2人きりでじっくり話し込んでいました。Dさんは
「現役のパイロットとこんなにじっくりと話したのは人生で初めてだー」と
かなり喜んでいました(笑) そういえば、サブリナさんのお母さんが、
彼のおかげで他国から必要なものを買って持ち込むことができるので
たいぶ助かっていると言っていました。

後になってDさんに聞いた話ですと、サブリナさんのお父さんは
夏季休暇をとっている場合ではないのだと漏らしていたそうです。
実は彼の務めるヨーロッパ系の大手貨物会社がベネズエラから
撤退するかもしれないという話が出ているそうなのです。
それも切羽詰まった状況になっているとか。そうなると、彼はパナマなどの
近隣の国に引っ越ししなくてはならなくなるだろうとのことでした。

長年住み慣れた祖国を去って別の国に住むとなると家族への負担も大きいし、
故郷を去るという決断をとるのはどんなに混迷を極めた状況の国であっても
喜ばしい選択ではないとのことでした。
また彼は長い間航空関係の仕事をしていたのでそれなりの貯えもあり、
老後の準備もしていたのだが、このスーパーインフレーションで
お金の価値がゼロに等しくなり、老後どうやって暮らしていったらいいのかも
わからないとDさんに話していたそうです。その話を聞いて胸が痛くなりました。

私Cocoも生まれ育った台湾を捨ててこちらにやって来た身ですから、
国を去る辛さはよくわかっているつもりです。
PH4_cocov238_1-20181008.jpg7人中5人がベネズエラ人ですから話す内容もやはり国の混迷についてが
多くなってしまい、しばし、皆さん暗い表情になることもありました。
しかしながら、パーティーそのものは和気あいあいとして
大変楽しいものになりました。私Cocoたちはカクテルパーティーですから、
2時間くらいでお開きになるかと思ったら、居心地が良かったのか
23時近くまで皆さん腰を上げなかったのにはDさんも僕も驚きましたー(笑)

最後にはサブリナさんのお父さんもお母さんも、
「ベネズエラが安定したら是非遊びに来てくださいねー」と
再会を誓ってお別れをしました。とっても素敵な両親に育てられたサブリナさん、
なんであんないい子なのか理由がよくわかりました!
育ちがいいというのはお金があるとかないとかの問題ではなく
両親の愛情いっぱいに、人として大切なものをしっかりと
教えられて育ったかどうかですねー!

Writer Profile

Coco
Cocoココ

台湾生まれ台湾育ちのフォモサ犬系雑種。野良犬だったため正確な年齢は不詳:性別、女推定9歳。台北で殺処分直前に現地の動物保護団体にレスキューされる。その後紆余曲折を経て、2010年、サンフランシスコ在住の日本人男子Japanさんとアメリカ人男子Dさんのカップルの家の養子となる。食べることと散歩が大好きだが鶏肉アレルギーがある。

Back Number

その他のバックナンバー

ページトップ