BS朝日×ハタラク×GINGER 演出家・宮本亜門さんと感じるブータンの旅 幸せの尺度って、なんですか?

Intro

「生きるってどういうことだろう?」「幸せってなんだろう?」
そのヒントがあるのではと、宮本亜門さんとブータンをおとずれました。

10泊 11日のブータンの旅。
その旅はあまりにも新鮮で、あまりにも清々しくて・・・・・・。

今回の旅で、素晴らしい贈り物を、たくさんもらいました。
それらをぜんぶ素直に届けます。
それが、WEBマガジン・ハタラクだからこそ、できることだと思ったので。

全20回のブータンストーリー。
毎週日曜日に更新中。

あなたもブータンをとおして、幸せを、生きることを、感じてください。

カディン チェ ラ(どうもありがとう)!!

Story.18

12月24日 後編

ブータンの勇気。

今日が、旅の最後の夜。今までの旅の日々をかみしめながら、亜門さんはこうして今、ブータンを訪れていることに思いを馳せます。

「このタイミングで、ブータンを訪れることができたことは、僕にとって、とても必要だった。というのも、僕は日本という国に住みながら、日本がどこに向かっていくのか期待すると共に、不安を感じていたから。その方向をどうやって僕が人に説明をしていいのかも、わからなかったのでね。

こう考えるようになったのも、僕が沖縄に住んだことも大いに関係している。
僕は、沖縄の良さがそのまま残ってほしいのに、乱開発が急ピッチで進んでいき、僕の住んでいる周りに移住者が多くなり、生活のスピードが東京と変わらないぐらい速くなってきた、まるで本土と沖縄が同じように。

そんなことを嘆くのは、あくまでも僕は沖縄から見たら外部の人で、地元の人たちは『何で便利になって悪い』と言われるかもしれない。
僕も『ここは今までと同じに』なんて勝手にパラダイスにしているようで、生活をしている人たちには言えなくて悩んでいた、悶々と10年間ね。

そういう意味では、ブータンは・・・・・・人を入れる時、高い壁をとりつつも、ある程度のハイクオリティを保つよう、ガイドをつけたり、自然を守り、やたらめったら山に入れさせないなど、ギリギリまで自然を守ることを大切にしている。そこには強い信念すら感じる。
そして方針に反対があっても『人にとって、何が本当の喜びなのか、いつか気がついてくれるだろう』という願いのもとに、『まず気づいてくれた人たちが、ブータンを愛してほしい』という考えを選択している。これは凄く勇気がいることだと思うんです。それらを実践していることに、頭が下がる。

もしも、国が経済、お金が一番という発想になっていたら、今ごろブータンは、他のあるアジアの国のようにぐしゃぐしゃになっていたと思う。それに見事にセーブをかけるというのは、とても近代的で未来的な発想だと思うんだ。そうでないと、このかけがえのない貴重な自然が本当に崩壊してしまうのだから。

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ポプジカの谷からパロに向かう際に超えるドチェラ峠。遠くにヒマラヤ山脈を仰いで。

さらにブータンの持つ力の素晴らしさを、亜門さんは続けます。

ブータンは、多民族国家なんだよね。ひとつの国でこんなにいろいろな国の顔を見たのは僕も初めてだ。白人のような顔の人もいれば、インド系、中国系のような顔の人もいて、とにかくこの民族の混じり方には驚かされた。ミックスの人も多く、だからなのか、きれいな人が多いよね。

でもそれぞれが認め合って、ひとつの国をつくったという歴史がある。だから、他国から人が来ても、全人類愛のような穏やかな接し方ができるんだろうな。
そうなると全員が“違っていていい”っていう意識が、この小さな国に存在する。
国王が発言された『全員それぞれが、お互いを認め合っているなかで、生きているんだ』という言葉には、この国だけの問題ではないという意味も含まれていると思うんだ」。

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「それからやっぱりここでは、祈りだよね。どんな農家に行っても、僧侶であっても、誰もが 『全世界のこの世のすべての生きとし生ける命が、幸せになりますように』という思いを込めて、お祈りしている。
普段のお祈りの言葉で『すべての生きとし生ける命に』と、毎日唱えている国民は、世界でも、余りないでしょう。まずは、『私が食べていけるように』、という自分のためのお祈りが多いからね。

ブータンの人々のお祈りは、本当に素晴らしいと思う。世界を見渡してもブータンは、決して裕福でない人も多いのに、それを越えて祈っている。そう祈ることで、幸せが自分のなかで満たされていくのかもしれないな、それこそが人は人から生まれ、人の中で生きる意味なのかもしれないね。

国王の発言も、なにひとつ気取らず、かっこつけた武装した言葉ではない。人間の本質から出ている 温かい心に沁みる言葉なんだ。心に語りかける言葉。だから国民たちにも分け隔てなく伝わるんでしょう、本当に素晴らしい」と、亜門さん。

ブータンをとおして、“幸せの尺度”のクライマックスが近づいているようです。

カディン チェラ

ハタラクは見た!!

ブータンのお土産

「ブータンのお土産は、何がおすすめですか?」と、ブータンの人たちに聞いたところ、いくつかのおススメを聞きました。その話を参考にして、ハタラクでもお土産を入手。
ブータンをこれから旅する方、参考にしていただけたら嬉しいです。

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(左下)ブータンはハチミツが有名。濃厚で美味です!(上・右中)レモングラスのお茶と石鹸。ブータンでは野生のレモングラスが生育しているそう。(右下)ブータン国王ご夫妻のバッジは人気のアイテム。

宮本亜門

宮本亜門AMON MIYAMOTO

演出家
1958年1月4日生まれ 東京都出身
ミュージカル、ストレートプレイ、オペラ、歌舞伎等、ジャンルを越える演出家として国内外で幅広い作品を手がけている。
http://amon-miyamoto.com/jp/

BS朝日×ハタラク×GINGER 演出家・宮本亜門さんと感じるブータンの旅 幸せの尺度って、なんですか? の目次

Story01 12月15日
出発。じらされてブータン。
Story02 12月16日
なぜかバンコク!?そしてなぜ、ブータン?
Story03 12月17日 前編
ブータンの地に一歩。
Story04 12月17日 後編
生かされている感覚。
Story05 12月18日 前編
大きなビジョンのなかの、今の一瞬。
Story06 12月18日 後編
なにが幸せかは、まだわからない。
Story07 番外編
亜門さん、死って怖いですか?
Story08 12月19日
宇宙と向き合える場所。
Story09 12月20日 前編
魂が宿る場所。
Story10 12月20日 後編
クリーンにリボーン!
Story11 番外編
亜門さん、今のブータンについて話しませんか?
Story12 12月21日
生きてることが幸せ。
Story13 12月22日
お釈迦様も自分も自問自答。
Story14 12月23日 前編
焦らず、一緒に幸せの国にしていこう。
Story15 12月23日 後編
変わらずにある、大切な何か。
Story16 番外編
亜門さん、今は死をどう感じますか?
Story17 12月24日 前編
ブータンは新しい国!
Story18 12月24日 後編
ブータンの勇気。
Story19 番外編
亜門さん、GNH委員会の人と話しませんか?
Story20 12月25日
幸せの尺度。
Story18_en December 24th, 2015
【英語版】Courage of Bhutan
Story19_en Special feature
【英語版】Talk with the officer from GNH Commission
Story20_en December 25th, 2015
【英語版】Scale of Happiness

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