BS朝日×ハタラク×GINGER 演出家・宮本亜門さんと感じるブータンの旅 幸せの尺度って、なんですか?

Intro

「生きるってどういうことだろう?」「幸せってなんだろう?」
そのヒントがあるのではと、宮本亜門さんとブータンをおとずれました。

10泊 11日のブータンの旅。
その旅はあまりにも新鮮で、あまりにも清々しくて・・・・・・。

今回の旅で、素晴らしい贈り物を、たくさんもらいました。
それらをぜんぶ素直に届けます。
それが、WEBマガジン・ハタラクだからこそ、できることだと思ったので。

全20回のブータンストーリー。
毎週日曜日に更新中。

あなたもブータンをとおして、幸せを、生きることを、感じてください。

カディン チェ ラ(どうもありがとう)!!

Story.16

番外編

亜門さん、今は死をどう感じますか?

今回の旅の序盤、亜門さんに死について質問をしました。それから数日がたち、ブータンでの時を過ごし、風を感じた亜門さんに、死についてもう一度聞いてみたくなりました。

亜門さん、今、死をどうのように感じていますか?

「死のとらえ方は実に様々だね、生まれ育った環境が死生観に大きく影響する。
例えば、西洋医学では、薬をどんどん投与して、病気は闘って医学の力で治すものとする考え方がある。日本ではもともと“どう死を受け入れるか”という気持ちがあった、でも今は西洋の考えと半々混じり合っている。

ブータンの人たちと話していて思ったのは『どうせいつかこの肉体は死ぬ。でも、魂は、長―い輪廻転生の中で、長―い時間をかけどんどん磨かれていくもので、今の行いによって、人は進化し、悟れる』と信じきっている。

そのために、まだ悟れていない自分たちが、こうして肉体を持って生きている間、いろいろ学び、良いことをして、次の来世に積み重ねる。この発想は、壮大なヴィジョンを持つ仏教だからだろうな」。

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そして、ブータンを訪れる前と今とで、亜門さんの仏教へのイメージは、大きく変わったようです。

「恥ずかしながら僕は今まで、仏教はもっと古い考えを持つ宗教だと思っていました。
でもゴーダマ•シッタールダという青年が、悟りを開くブッダとまでの話を改めて聞き、彼も最初は、物が溢れる裕福な生活がスタートで、それを疑問に思ったところからスタートしたと再確認して、正に、今こそ、必要な考えだと思いましたね。だからこそ仏教は、時代を超え、人々の心に訴え続けてきたんだね」。

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さらに、自分の死生観とも合わせて、亜門さんは話します。

「だから良い意味でも、『今、最大に頑張らなくても、来世があるから』というゆとりも、ブータンの人にある。
でも経済中心の国で生きる人たちは『人生は一回しかない』という思いから、『生きることを、もっと楽しもう』という人たちもいれば、反対に息苦しくなって、『もうこんな人生いいや』と思って斜めにモノを見たり、放り投げる人たちもいる。変にリミットを先に考えすぎると、いろいろ七転八倒してしまうんだろうね、よくも悪くも。そのリミットがあるということがプラスにも、マイナスにもはたらく。僕もその一人だろう。

『今生しかない。人生は二度とないから、面白い!』と思っている人は、一度大きく傷つくと、考えなくてもいい事を大きく考えすぎてしまって、社会や世間と対峙して、自分を否定するマイナスの方向にも向かわせてしまう。

でもこの仏教は、もっとヴィジョンがでかい! つまり輪廻転生の思想によって、いくらでも人は変われると説いている。だから焦ることなく、常に日々、マニ車を回すだけではなく、『いいことをしていこう』という学びの場所だという考え方があるんですよ」。

カディン チェ ラ!

ハタラクは見た!!

お茶とお菓子のおもてなし

今回の旅で、ブータンの一般家庭を訪ねたり、農家での宿泊の機会を得ました。そして各家にうかがう度に、とても素敵なおもてなしを受けました。それはお茶とお菓子です。

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バターと牛乳がたっぷり入ったミルクティと、ちょっと懐かしいお米でつくったポンポン菓子がブータンでの定番のよう。
決して豪華ではないけれど、こういう温かいおもてなしの気持ちが、何よりうれしいもの。ブータンのお茶とお菓子、今でもふとした時に、いただきたくなるんですよね。

宮本亜門

宮本亜門AMON MIYAMOTO

演出家
1958年1月4日生まれ 東京都出身
ミュージカル、ストレートプレイ、オペラ、歌舞伎等、ジャンルを越える演出家として国内外で幅広い作品を手がけている。
http://amon-miyamoto.com/jp/

BS朝日×ハタラク×GINGER 演出家・宮本亜門さんと感じるブータンの旅 幸せの尺度って、なんですか? の目次

Story01 12月15日
出発。じらされてブータン。
Story02 12月16日
なぜかバンコク!?そしてなぜ、ブータン?
Story03 12月17日 前編
ブータンの地に一歩。
Story04 12月17日 後編
生かされている感覚。
Story05 12月18日 前編
大きなビジョンのなかの、今の一瞬。
Story06 12月18日 後編
なにが幸せかは、まだわからない。
Story07 番外編
亜門さん、死って怖いですか?
Story08 12月19日
宇宙と向き合える場所。
Story09 12月20日 前編
魂が宿る場所。
Story10 12月20日 後編
クリーンにリボーン!
Story11 番外編
亜門さん、今のブータンについて話しませんか?
Story12 12月21日
生きてることが幸せ。
Story13 12月22日
お釈迦様も自分も自問自答。
Story14 12月23日 前編
焦らず、一緒に幸せの国にしていこう。
Story15 12月23日 後編
変わらずにある、大切な何か。
Story16 番外編
亜門さん、今は死をどう感じますか?
Story17 12月24日 前編
ブータンは新しい国!
Story18 12月24日 後編
ブータンの勇気。
Story19 番外編
亜門さん、GNH委員会の人と話しませんか?
Story20 12月25日
幸せの尺度。
Story18_en December 24th, 2015
【英語版】Courage of Bhutan
Story19_en Special feature
【英語版】Talk with the officer from GNH Commission
Story20_en December 25th, 2015
【英語版】Scale of Happiness

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