BS朝日×ハタラク×GINGER 演出家・宮本亜門さんと感じるブータンの旅 幸せの尺度って、なんですか?

Intro

「生きるってどういうことだろう?」「幸せってなんだろう?」
そのヒントがあるのではと、宮本亜門さんとブータンをおとずれました。

10泊 11日のブータンの旅。
その旅はあまりにも新鮮で、あまりにも清々しくて・・・・・・。

今回の旅で、素晴らしい贈り物を、たくさんもらいました。
それらをぜんぶ素直に届けます。
それが、WEBマガジン・ハタラクだからこそ、できることだと思ったので。

全20回のブータンストーリー。
毎週日曜日に更新中。

あなたもブータンをとおして、幸せを、生きることを、感じてください。

カディン チェ ラ(どうもありがとう)!!

Story.09

12月20日 前編

魂が宿る場所。

ブータンの旅も半ば。今回のメインイベントともいえる場所、そしてブータンの人々がもっとも熱い信仰を寄せる地、パロにある『タクツァン僧院』に向かいます。
“一生に一度はタクツァン僧院詣で”という言葉があるくらい、ブータンの人々にとっては神聖な場所です。

ブータンに仏教を広めた始祖グル・リンポチェが、8世紀に、空飛ぶ虎(タク)に乗って舞い降りた隠れねぐら(ツァン)、という伝承が残る『タクツァン僧院』は、断崖絶壁に建立された10以上の僧院が集まっている聖地。
その聖地に、昨日出会った少年僧のプムくんと一緒に、亜門さんは参拝することとなりました。

「ブータンの一番信仰が厚いところには、きっと何かがあるはず、とても楽しみだ。
『タクツァン僧院』は、あれだけの断崖絶壁に建っているから、その道中もきっと息がハーハー切れて、苦しいだろうけど、焦らずに、自分のペースでゆっくり行けばいい。
やっぱり歴史があって、人々の信仰として崇められたきた山へ登るのは、格別の緊張と興奮がある。ましてやここは、聖地。その領域に入っていくんだから、普通の山登りとは違う」と、亜門さん。

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プムくんも初めて訪れるという『タクツァン僧院』。さぁ、ここから片道3時間以上の山登りがはじまります!

『タクツァン僧院』を目指し、一歩を踏み出します。目的地までは、ひたすら山道を登るしかありません。
まずは最初の休憩場所、標高2,800mにあるレストハウスに向かうため、針葉樹の尾根を登り続けます。
道々では、ブータンの人たちはもちろん、欧米人も多く見られ、かなりの年輩の人たちも、ゆっくりゆっくり一歩ずつ踏みしめながら登っている姿がありました。

我らが亜門さんはというと・・・・・・スタッフの誰よりも軽快に、リズミカルに登っているではありませんか!? 息が切れる心配なんてとんでもない。プムくんやガイドさんと楽しくおしゃべりしながら、スタスタと登ること、登ること。

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道は舗装されているわけでもありませんが、意外と歩きやすいもの。道々の途中には、ブータンのいろいろな場所で目にする、五色の旗(ルンタ)もたなびいて。途中、休憩所でミルクティーをいただきながらひと休みする亜門さんとプムくん。

スタートして約2時間、無事に休憩所に到着。亜門さん、いかがですか? 疲れていませんか?

「全然、疲れていませんよ。元気! 元気! 普段、愛犬の散歩ぐらい楽しんでいる(笑)、神が居られるところに、近づいていっていると思うと、なんか苦しさより、楽しさや喜びのほうが増して、どんどん元気になっていく。不思議だ」

さすが。
亜門さんのパワフルさにわたしたちも力をもらい、再び『タクツァン僧院』を目ざし、山道へ。針葉樹を抜け、一旦下っては渓流を渡り、最後の難関、石段を登ること1時間半。念願の『タクツァン僧院』に到着しました。感動以外の言葉が浮かびません。

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これだけの圧倒的な信仰心が感じられる聖地、撮影は一切禁止です。
ガイドさんの案内で参拝をし、ブータンに仏教を広めた高僧グル・リンポチェが瞑想をしたとされている場所も拝観。深く篤い信仰心に包み込まれ・・・・・・。
各々がさまざまな思いを抱きながら、自分を見つめながら、今のこの空気を感じながら、しばらくの時間を無言で過ごし、帰路へ。

帰り道は下りということもあって、1時間半ほどでスタート地点に戻ることができ、わたしたちのタクツァン僧院詣では無事終了しました。

「無心になれました。みんなでここに来て、汚れを捨てて、神様と対面できた。人生のなかでも、最高の時間だ。

やはり大自然なんだよね。人間と自然が一体になる幸せが、ここでははっきり感じられる。都市や街のなかでは絶対に感じることのできない、『人間は自然の一部なんだ、共に生きているんだなー』という実感がこの心地よい疲労と共にくる。精神的にも、肉体的にも、幸せを感じれた最高の時間です。

ブータンの人たちにとって大切なタクツァン僧院が、あの山の断崖絶壁にある意味合いが、少し分ったような気がして嬉しくなった。街のなかにある僧院ではない、この圧倒的な自然のなかにあるからこその、聖地なんだ。

それはまるで宇宙の真ん中にいる感覚。そしてそこには魂が宿っていて、全身で心ですべてを含めて感じる、誰にも必要な場所。自分たちの身体の外に宇宙があり、また内なる精神にも宇宙がある、そんなことを体験できる参拝だった。
この感覚は、ガイドブックや写真だけではわかりない、ぜひ、訪ねて感じてほしいな。来ないと感じることはできませんから

ブータンの旅のメインイベントのひとつでもあった『タクツァン僧院』詣で。
圧倒的な何かをそれぞれが心に秘めながら、わたしたちは、ブータンの新年のお祭りに向かうのでした。

カディン チェ ラ!

ハタラクは見た!!

ブータンの信仰のあらわれ

ブータンの村や山間部など、いたるところに、日本ではお目にかかれないものを、多く見かけます。
信仰のあらわれでもあるその代表的なものを、ご紹介しますね。

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〇ダルシン
約5メートルの高さのある、縦長の白い布地に経文が書かれています。
そもそもダルシンは、人が亡くなり、その遺灰の一部を撒いた場所に、108本立てて供養するというもの。風でダルシンがはためく度に祈りが風に乗って、広がっていくと言われています。
また、東日本大震災の際、ブータンでは鎮魂のために、各地でダルシンが立てられたそう。ブータン人の愛を強く感じます。

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〇チョルテン
「仏塔」を意味するチョルテン。ブータンのお寺の参拝の仕方同様、チョルテンの周りを時計回りに回ることで、徳を積めると言われています。
わたしたちも今回の旅で、ポプジカの谷など、あらゆる場所で見かけました。

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〇ルンタ
タクツァン僧院詣での途中の峠や、民家の軒先、道などで見られ五色の小さい旗。それぞれに「風の馬(=ルンタ)」やお経が書かれています。
色は「天・風・火・水・地(=青・白・赤・緑・黄)」を意味し、お土産で購入する人も多いそう。

宮本亜門

宮本亜門AMON MIYAMOTO

演出家
1958年1月4日生まれ 東京都出身
ミュージカル、ストレートプレイ、オペラ、歌舞伎等、ジャンルを越える演出家として国内外で幅広い作品を手がけている。
http://amon-miyamoto.com/jp/

BS朝日×ハタラク×GINGER 演出家・宮本亜門さんと感じるブータンの旅 幸せの尺度って、なんですか? の目次

Story01 12月15日
出発。じらされてブータン。
Story02 12月16日
なぜかバンコク!?そしてなぜ、ブータン?
Story03 12月17日 前編
ブータンの地に一歩。
Story04 12月17日 後編
生かされている感覚。
Story05 12月18日 前編
大きなビジョンのなかの、今の一瞬。
Story06 12月18日 後編
なにが幸せかは、まだわからない。
Story07 番外編
亜門さん、死って怖いですか?
Story08 12月19日
宇宙と向き合える場所。
Story09 12月20日 前編
魂が宿る場所。
Story10 12月20日 後編
クリーンにリボーン!
Story11 番外編
亜門さん、今のブータンについて話しませんか?
Story12 12月21日
生きてることが幸せ。
Story13 12月22日
お釈迦様も自分も自問自答。
Story14 12月23日 前編
焦らず、一緒に幸せの国にしていこう。
Story15 12月23日 後編
変わらずにある、大切な何か。
Story16 番外編
亜門さん、今は死をどう感じますか?
Story17 12月24日 前編
ブータンは新しい国!
Story18 12月24日 後編
ブータンの勇気。
Story19 番外編
亜門さん、GNH委員会の人と話しませんか?
Story20 12月25日
幸せの尺度。
Story18_en December 24th, 2015
【英語版】Courage of Bhutan
Story19_en Special feature
【英語版】Talk with the officer from GNH Commission
Story20_en December 25th, 2015
【英語版】Scale of Happiness

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